Martin Custom 00-28S のボディバインディングはがれ修理

ID2330-28.JPGMartin Custom Shop の00-28Sですが、バックの両くびれ付近にバインディングのはがれがあります。はがれ箇所のバインディングはシュリンク(縮み)しており、手で押えても閉じきらないので一旦ヒールキャップまではがしてストレスを無くしてからの再接着が必要です

ID2330-29.JPG6弦側のバインディングも同じように閉じきりません






ID2330-36.JPGはがれ箇所に紙片を挟んでみると状況が把握しやすいです。両側のくびれ箇所にはがれがあるのが分かります

ID2330-180.JPGさらにチェックしたところ、トップ側くびれの両バインディングも少しはがれていることが分かりました。ただしこちらは手で押えると閉じきるのでハタガネでのクランプ接着が可能です

ID2330-277.JPGまずトップ側のバインディングを接着します。はじめに00-28Sの形状に合わせてハタガネ用の当て木を作ります。次にサイド面にマスキングテープを貼り、はみ出た接着剤が塗膜にくっ付かないようにしておきます。それからエポキシ系接着剤をはがれのすき間に注入してよく浸透させてから、当て木をセットしハタガネでクランプします。トップ側にはみ出た接着剤はこまめに拭き取り、はみ出なくなるまで繰り返し行ないます。そのあとは完全硬化するまで2日間以上その状態で養生します

ID2330-313.JPG6弦側も同じようにハタガネクランプ接着します。完全硬化後、必要に応じてタッチアップ塗装やツラ出し研磨をし、最後に軽くバフ掛けをして仕上げます


ID2330-330.JPG次にバック側のバインディングをパレットナイフなどでヒールキャップのところまではがします。ホットエアガンで箇所を温めながら作業するとはがしやすいです。またバインディングと木地の境にペンナイフで軽く切れ目を入れると塗膜が欠けにくくなり後の塗膜修正が少なくて済みます

ID2330-350.JPG何とかヒールキャップまではがすことが出来ました

ID2330-365.JPGはがしたバインディングを元の溝に収めてみて、はみ出る部分がないか確認し、もしあれば修正しておきます。ただしバインディングに付いている木材の繊維などはそのまま残しておきます

ID2330-387.JPG接着は片側ずつ行ないます。接着剤にはタイトボンドを使います。ボンドは水性のため作業がし易く、ストレスがない状態のバインディングの再接着では接着に問題ありません。バインディングに残っている木材の繊維が作用して上手く接着できます。接着後、よく拭き取ってからマスキングテープを貼って固定します。貼ったあとでもボンドがはみ出てきますので、3~4回マスキングテープを外して拭き取りを繰り返します。また塗膜によってはテープ負けを起すこともありますので跡が付いていないかよく注視して貼り直します。最後の貼り直しでは新しいテープに替えるといいでしょう。そのまま様子を見ながら半日から一晩くらい養生します

ID2330-408.JPG6弦側も同じように接着します

ID2330-394-2.jpgここだけ写真が粗くて申し訳ありませんが、箇所の写真を撮り忘れましたので他のカットでヒール部が写っているものを拡大しました。バインディングの再接着によりヒールキャップ部の接合部にすき間が開きますので同じような素材で埋め込みます

ID2330-415.JPG同じような素材を削ってピースを作り、埋め込みます

ID2330-476.JPG整形ツラ出ししたら周囲の色合いに合わせて着色タッチアップします

ID2330-484.JPG再接着したバインディング周りは必要に応じてタッチアップ塗装、ツラ出し研磨などをしてから軽くバフ掛けして周囲と馴染ませるように仕上げます

ID2330-509.JPGボディバインディングのはがれ修理が完了しました。このギターはそのほかピックアップ取り付け、フレット交換などを行いました。現在はライブでも大活躍しているとのことですので何よりです!